「大空、入っていい?」 扉越しに言えばうん、と返ってきた 静かに入れば大空は読書中だった。 私が部屋に入れば読書をやめてこっちを向いた。 「レモンケーキ、持ってきたよ。陽子さんが切ってくれてる」 「明希さんの焼いたケーキは魔法がかかったように美味しいよね。」 明希さん、とは私のお母さんだ。 「今読んでたの、魔法の本でしょ」 「ばれたか」 大空といるときのこの緩い空間が好きだ 何気ない会話だけで赤面しそうになる…