この空の下で


その女の子はあたしと目が合うと、
ニコっと笑った。可愛い!

あたしが男だったら、
間違いなく好きなタイプだな〜。
なんて思っていると、
急にあたしの手を取り、

「俺、凛ちゃんが大好きです。」

何故いまここで?
女の子に気を取られていたから、
状況が全く飲み込めない。

「あたしも優くんが好き。」

これで正解なのか?大丈夫?
そう思いながら優くんを見る。

「優わかったから!
ここでイチャつくな!暑苦しい。」

笑いながら言うオーナーさんに、

「俺は凛ちゃんだけ好きって、
前から言ってましたから!
あの凛ちゃんと付き合えたんだから、
もっと喜んでくださいよ〜。」

ダメだ。ついていけない。

「あの凛ちゃんってどの凛ちゃん?」

自分が話を聞かず女の子を見てたくせに、
優くんが何を言ってるのか、
全く意味がわからなく、
つい言ってしまった。

言ってからヤバいと気付き笑ってみる。

「お前だろ。バカなの?」

「あはは。」笑うしかない。

「優さんは、凛さんの事、
よくマンションから見てたんですよね?
空を見ながら歩いてる女の子が、
初恋の凛さんだったと言う
運命的な再開って言うんですか?」

「お前が言うなよ!
お喋りな男って嫌われるんだぜ?
凛ちゃん怒っちゃったじゃん。」

いや、怒ってません。
全く理解出来ないだけです。
でも今は彼女のふりをしなきゃ。

「怒ってないよ?恥ずかしいだけ。」

そう言い下を向いた。

下を向かなければ、
間違いなく嘘の彼女だとバレてしまう。
笑う事が出来ない。

優くんがわからない。

いや、話全てが理解出来ない。