この空の下で


「いらっしゃいませ〜!

ええぇ!優さんが女連れてる!!」

中に入った途端、
店員の男の子が大声を上げた。

そこにいたお客さんも含め、
みんな一斉にあたしを見る。

ヤバいどうしよう。
そう思ったと同時に下を向いた。

「こんばんは〜!
デートでここに来ちゃいました〜!」

そう元気に言った後、
緊張してもの凄く強く握っていた手を、
ポンポンと指で叩いてきた。

あ、そうだ。緊張してる場合じゃない。
そう思い、
優くんを笑いながら見上げ頷いた。

「彼女可愛いしょ〜。」

そう笑いながら、
さっきの店員の子と話してる。

はじめまして。そう言い笑顔を作る。

あ、あたしの作り笑顔、
みんなにバレないかな?
ちゃんと笑えてるかな?

昨日笑うなと言われたけど、
今は笑っていなきゃダメだよね?
笑っていいんだよね?

そんな事を暫し考えながら、
手をギュっと握り優くんを見て微笑む。

なんで、
もっとどうしたらいいのか話してから、
中に入らなかったんだろう。
無駄にベタつく、
アホな女になってる気がした。

普通の彼氏彼女ってどんなだっけ?
近くに座っているカップルを観察する。
あたしとは違い自然と笑いながら、
自然と触れてる。

あぁ、あたしは不自然すぎるのか。
ごめん!今から自然にやってみる!

って、、、。
自然ってどーしたらいーんだ?

わからない。よし、次のカップル!

優くんと店員さんが話してる間、
キョロキョロ見渡しカップルを探した。

もっと、
どうしたらいいか言うべきだったと、
きっと優くんも思ってたよね。