この空の下で


「俺、車もってくるよ!」

「え?近場でいーよ!」

意見の合わない2人。
あたしは近場で食べて早く帰りたい。

「じゃんけんで決めようぜ!」

えー。と乗り気じゃないあたしも、
ジャーンケーンの声で、
手を出してしまった。

あたしの負け。


車をとりに行くと言うので、
あたしも一緒に歩いた。

さっきは見上げる事が出来ない、
澄んだ青空だったのに、
今はもう真っ暗な空。

空を見ながら歩く。

「あたしの心の中みたい。」

「そんなに大きいの?」

笑う優くんを見る事なく、首を横に振る。

「真っ暗いや、真っ黒。」

「真っ暗な夜でも、必ず朝は来るでしょ?嫌でも必ず朝が来て、青空が広がる。
凛ちゃんの心もキレイな青空になる。」


「あたしには朝が来ても青空は出ない。
雨が降る前の雲と同じ色だよ。」

「今はでしょ?
これからでいいじゃん。
夜空もキレイだけど、
やっぱり青空が1番キレイだよ。」

なんの話してるのあたし達は。
そう思うと可笑しくなってしまった。

「優くん今日はありがとう。
お菓子持って来てくれてありがとう。
心配してくれてありがとう。」

空を見ながら言う。

「お菓子は凛ちゃんのじゃん。
忘れてくなよ!
って俺も忘れ物したから会い、
いや、取りに行ったそれだけだよ。」

同じく空を見て言った。

同じ空を見ているのに、
見てるはずなのに、
あたし達はきっと違って見えてる。

昨日会ったばかりのあなたの事、
あたしは何も知らない。
知りたいとも思わなかった。

だけど、同じ空を見ていたね。