この空の下で


「腹減った。」

「作ってあげないよ?」

「ケチ!
じゃあ飯食いに行かない?」

携帯ばかりいじるあたしに、
飽きてきたんだろう。

「スッピンだから嫌!」

一緒の部屋にいて、
居心地は悪くなかったけど、
いつ帰るんだろう?
サングラスを返した時から思っていた。


「じゃあ俺も我慢する!」


帰って!と、遠回しに言ったのにな。
このままここにいられても困る。

「じゃあ化粧するから待ってて!」

ご飯を食べに行き、
そのまま帰ってもらおう。

そう思ったあたしは、
携帯をバックに入れ化粧をし始めた。

「よし!行くよ!」

落ち着きのない優くんを、
部屋から追い出す様に、
あたし達は部屋を出た。

鍵をかける前に、
サングラスを持っていない事に気付いた。

「大事なサングラスは?」

バタバタと部屋に戻り、
サングラスを見つけ玄関に戻り、
優くんに渡した。

「大事なサングラスかけとくわ!」

「夜にかけてるのは怪しい人だよ。」

何故か一言多いあたし。

だけど優くんは、
笑いながら素直にサングラスを外した。


そのまま鍵をかけ下まで降りる。


そういえば、
優くんはどうやってここに来たの?
車?いや、駐車場この辺りにないし。

優くんはどこに住んでるんだっけ?
あ、聞いてもないか。

全く興味がないのがよくわかる。

あれ?
でも結構な量のお菓子たちを、
持って来てたよね?
あ、ありがとうも言ってないや。

そんな事を思ってるうちに、
エレベーターは一階へ着いた。

「優くん今さらだけど、
どうやってここに来たの?」

「俺のマンション、
すぐそこだから歩いてきた。」

「え?そうなの?どこ?」

驚くあたしに指を指しながら説明する。

さっき廉を傷付けて帰ってきた道に、
優くんのマンションがあった。

「え?マジで?
かなり近いね。200mあるかな?」

近くて驚くあたしに、
俺も送った時ビビったって笑った。