この空の下で



「どうぞ!」

部屋に招き入れるあたしに驚き、

「ここでいーから。」

慌てて袋をあたしに渡す。

袋を見ると、
今朝コンビニで買ってくれた、
お菓子やジュースだった。

え?それをわざわざ?

「あれ?もしかして寝てた?
えーっと、
あの、ちょっと外に出て話せない?」

「暑いから入って!」

申し訳なさそうに言う優くんに、
少しイラつき、部屋に入る様に言い、
あたしは部屋の方へ歩いて行った。

何故部屋にいれたかはわからない。
寝起きじゃなかったら、
結衣の言ってる意味が理解出来ていたら、
あたしは部屋には入れなかったはず。

こんな、
くしゃくしゃな顔してなかったら、
外に出ていたはず。

なんのいたずらなのか、
あたしは彼氏もいれたことのない部屋に、優くんを招き入れた。

「おじゃましま〜す。」

「どうぞ!お茶でいいですか?」

「うわ。キレイにしてるんだ意外!
やべーどこに座ればいい?
うわ。女の子の匂いがする〜。」

あたしの、
この不機嫌な感じを読み取れないのか、
はしゃぐ優くん。

「で?なんで部屋まで来たの?
なんで結衣に聞いてここまで来たの?」

それが一番聞きたかった。
なんの為にここに来たの?この人は。

「怒ってるよね。ごめん。
いや、携帯も聞いてなかったし。」

「なら、
部屋じゃなく番号を結衣に聞いてよ!」

やっと携帯を開き、
結衣からのメールを見ながら話す。

え?

結衣からのメールは、
あたしが落ち込んでるから、
心配だとうるさい優くんが、
あたしを必ず笑わせて帰ってくるからと
言い切ったので、部屋を教えてしまった。
結衣の電話もメールも無視だから、
結衣に怒ってると思って、
結衣が行くよりも、
優くんが行った方がいいと思った。

そんな感じの内容だった。

寝てたってさっき言えばよかった。
メールを見て後悔するあたし。

とりあえずボロボロの顔を洗いに行った。
化粧を落としやっと目が覚めた気がした。

何故あたしは、
優くんを部屋にいれちゃったんだろう。
あ、でも優くんは友達。
今日は結衣のかわりだ。うん。そうだ。

そう言い聞かせ部屋に戻った。