この空の下で


「目の前からいなくなって!帰って!
さようなら!」

あたしのこんな姿を見た学は、
ものすごく驚いただろうね。
いつでも笑っていて、
愛してるか聞かれると、人形の様に、
愛してるよと笑う、
あたししか知らないんだもん。

裏のあたししか知らない。
いや、こっちが裏なのか?

このままここにいられても、
もっとヒドイ事を言ってしまいそう。

それを察したのか急いで立ち、

「本当にすいませんでした。
これで別れるのは嫌なので、
もう一度会って下さい!」

そう言っているのを無視すると、
そそくさと出て行った。

学が出て行った後、
あたしは足の震えが止まらなかった。

涙は全くないけど、
震えだけが止まらなかった。

どうしていいのかわからないあたしは、
結衣に電話した。
待ってて!
そう言った後、
部屋着のまま来てくれた結衣を見て、
震えが少し止まった気がした。

あたしの顔が余程すごかったのか、
来てすぐ抱きしめてくれた。

一通り話して、
うんうん。と聞いてくれた後に、

別れてよかったんだよ。
今までいっぱい辛かったね。
ものすごく苦しかったね。
たくさん頑張ったね。
凛おかえり。
そう言って泣いてくれていた。

当の本人のあたしは泣く事もなく、
自分の事じゃないような感覚。

やっと終わった。
長い苦しみから解放される。

大袈裟かもしれないけど、
本当そう思っていた。