この空の下で


「こんばんは〜!
一緒に飲みませんか〜?
これはナンパではありませ〜ん。」

あたし達の、
いや、あたしの暗い空気とはうらはらに、とても明るい声が聞こえた。

「あれ?泣いてる?俺なぐさめよーか?」

は?と思い声の方を見て睨む。

「あれ?優ちゃんじゃない?」

結衣が話しかけた。

「お〜!
結衣ちゃんじゃん!めっちゃ久しぶり!」

あたしは結衣と、
その優ちゃんを交互に見る。

「優ちゃんナンパはダメだよ!
しかも凛に失礼な事言って!謝りな〜。」

そう言われると、
あたしの方を真っ直ぐ見て、
すいませんでした。と謝った。

「大丈夫です。泣いてませんから。」

可愛くないあたしは、
下を向きながら答える。

「あはは!面白いね凛ちゃん。」

返ってきた言葉は意外で、
あたしは顔をあげた。

どー考えたって嫌な女でしょあたし。
何が面白いの?嫌味なのかこれは。

「凛〜?
昔の彼氏の友達の優ちゃん。」

「凛ちゃんはじめまして。
優しい男そのままの優と言います。
彼女はいません。一途な男です。
心の優しい子が好きです。」

聞いてませんけど。
そう思ったけど、結衣の知り合い。

「凛としてませんが凛と言います。」

そう言い笑うと、

「笑わない方がいーよ。」

と真顔で言った。