この空の下で


「らっしゃいませ〜」

この間と同じ人かはわからないけど、
元気よくまた迎えられた。

飲むつもりはなかったけど、
居酒屋と言ったら生ビール。
座ってすぐに生を頼むあたし達。

「明日から一週間頑張ろ〜。」

そう言ってあたし達は飲み始めた。

お酒の力を少し貸してください。

半分くらい飲んだ頃、

「結衣に言わなきゃならない事がある。」

「あたしも凛に話したい事がある。」

「じゃあ結衣からどーぞ。」

あたしの話を聞いたら、
結衣が言えなくなっちゃうかも。
そう思った。

「あたし、もう一度剛と付き合いたい。
今は彼女いないんだって。
別れた時かなり辛かったはずなのに、
昨日会ったら辛かった記憶が消えたの。

前の様に喋ってたら、心が温かくなった。キュンとしちゃったの。
もう一度、あたしは剛を好きになりたい。好きになってもらいたい。」

女の顔をしながら結衣が言った。
女の顔って言うか、
なんだろ?とりあえずキレイだった。
目標を見つけて歩き出した事が、
見てるだけでわかった。

あたしはこんな顔した事がないな。

まず目標も見つからず、
ふらふらとヘラヘラと歩いてるだけ。

羨ましいと思った。

自分の素直な気持ちに、素直に動けて。

あたしは、
捻くれた気持ちをごまかしながら、
周りを伺ってしか動けない。

どうやったら素直になれるの?

あたしにも素直になる事は出来ますか?

誰か教えて下さい。

出来るよ!そう言ってください。