通夜、葬式が終わって、みんなそれぞれ、
自分の生活に、戻って行った。
佐紀も、
伯母さんのいる下宿に帰って来た。
皆がいる時は、
いらぬ気遣いをさせない様、
明るく振舞っていたが、一人になると、
次第に寂しさが、募って来た。
フラれたのだから、単なる友達に戻って、
関係ないと言えば、関係ないのだが、
納得の行かない別れ方だったから、
気持ちの整理が、つけられないでいた。
佐紀は“時間は十分にある”と思って、
何もしなかった自分を、責めていた。
そしてそれが、佐紀の悲しみに、
拍車をかけていた。
“なぜあの時、
もっと強く出なかったのだろう。
そうすれば、
違う今になっていたかも知れない”
その考えが、頭を離れなかった。
傍から見ると、
ごく普通に生活しているようだが
佐紀の中では、非現実感が漂っていた。
日常が、夢の中のようであり、
それを横から見ているような感覚に、
囚われていた。
葬式によって、祐太の死は、わかった。
しかし、それを受け入れたくない、
もう一人の佐紀がいて、その佐紀が、
傍から見ているのかもしれなかった。

