次の日、佐紀は、
甲陽高校の仲間たちと共に、
祐太の通夜に行った。
布団に寝かされた祐太は、化粧のせいか、
眠っているかのようだった。
祭壇の上には、笑顔の祐太の写真が、
祀られていた。
祐太は、佐紀といる時は
仏頂面が多かったが
時折見せる笑顔は、人懐っこく、
周りを暖かくさせた。
そんな祐太の笑顔の写真を見ていると、
また佐紀の中に、悲しみが溢れて来た。
向かいに座っている祐太のお母さんは、
泣いていて、お辞儀をするのが
やっとのようだった。
佐紀は、祐太に末期の水を取り、
もう一度祐太の顔を見て、手を合わせた。
しかし、頭の中は、真っ白だった。
本当は、
冥福を祈らなければいけないのだろうけど
未だに信じたくない気持ちが大きくて、
なにも考えられないでいた。
それが終わると、皆は、外へ出て、
佐紀の周りに集まった。
本来なら、
懐かしい話に花が咲くのだけれど
今は、そんな雰囲気ではなかった。
皆が口々に佐紀を慰めていると、
達也がやってきた。
「よっ、久しぶり」
しかし、達也の声に、元気は無かった。
達也は左手を、三角巾で吊っていた。
梨沙が、それを見て、
「どうしたの? その手」
「うん」

