ひとしきり泣いた後、
佐紀は、落ち着きを取り戻した。
「みんな、来てくれてありがとう」
「何言うてんねん。
こんな時来んで、
いつ来るっちゅうねん」
「サキさんの悲しみ、
お察ししますわ」
梨沙は、佐紀の横に腰を下ろし、
ずっと、佐紀の手を握っていた。
華子は、そんな二人を見て、
幼馴染っていいなあと思った。
「サキさん、噂には聞いてましたけど、
いつから、付き合ってましたの?」
「ちょっと、華子」
「いえ、話したくなければ、
かまいませんのよ」
「せやで、今訊く事、ちゃうやん」
「そうですわね。
ちょっと、軽率でしたわ。
謝ります」
「大学に入って、暫くして………」
佐紀が、少しづつ話し始めた。
「サキ、ええんやで。
無理して話さんでも」
「ううん、一番の供養は、
思い出す事だって、
どこかで、聞いたから」
佐紀は、祐太との思い出を、語り始めた。
話している時は、当時の事が蘇り、
幸せな気持ちになるのだが、
一段落すると、喪失感が襲ってきて、
落ち込んだ。
そこから逃れようと、
新しい話を始めるが、
落ち込みは、
さらに酷くなって行くだけだった。

