「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


ひとしきり泣いた後、
佐紀は、落ち着きを取り戻した。


  「みんな、来てくれてありがとう」


  「何言うてんねん。

   こんな時来んで、
   いつ来るっちゅうねん」


  「サキさんの悲しみ、
   お察ししますわ」


梨沙は、佐紀の横に腰を下ろし、
ずっと、佐紀の手を握っていた。

華子は、そんな二人を見て、
幼馴染っていいなあと思った。


  「サキさん、噂には聞いてましたけど、
   いつから、付き合ってましたの?」


  「ちょっと、華子」


  「いえ、話したくなければ、
   かまいませんのよ」


  「せやで、今訊く事、ちゃうやん」


  「そうですわね。

   ちょっと、軽率でしたわ。

   謝ります」


  「大学に入って、暫くして………」


佐紀が、少しづつ話し始めた。


  「サキ、ええんやで。
   無理して話さんでも」


  「ううん、一番の供養は、
   思い出す事だって、
   どこかで、聞いたから」


佐紀は、祐太との思い出を、語り始めた。

話している時は、当時の事が蘇り、
幸せな気持ちになるのだが、
一段落すると、喪失感が襲ってきて、
落ち込んだ。

そこから逃れようと、
新しい話を始めるが、
落ち込みは、
さらに酷くなって行くだけだった。