「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


佐紀が家に帰ると、母が出て来た。


  「ただいま」


  「おかえり。

   みんな、来てるわよ」


  「みんな?」


佐紀がリビングに入ると、梨沙や友理、
雅美、華子たちも来ていた。


  「みんな心配して、
   来てくれたみたいよ」


皆は、佐紀の周りに集まった。


  「サキっ、大丈夫?」


皆、心配して、口々に声をかけた。


  「みんな、ありがとう。
   大丈夫だよ、私は」


佐紀は、皆に要らぬ心配をかけまいと、
明るい声で言った。

すると梨沙が、佐紀の肩をガシッと掴み、
佐紀と目を合わせた後、抱きついて来た。


  「いいんだよ、サキ。

   泣いていいんだよ。

   無理すること、ないじゃん」


梨沙の言葉を聞いた途端、
佐紀の目から、涙が溢れて来た。


  「リサぁ」


佐紀は、号泣した。

幼馴染である梨沙は、佐紀が無理をして、
悲しみを押し殺し、
気丈に振舞っていると、わかっていた。

梨沙は、佐紀の頭をポンポンとしながら、


  「そうそう、全部吐き出したら、
   いいんだよ。

   溜め込んだら、
   悲しさが大きくなるだけじゃん」


そんな二人を、皆は、周りで見守っていた