佐紀が家に帰ると、母が出て来た。
「ただいま」
「おかえり。
みんな、来てるわよ」
「みんな?」
佐紀がリビングに入ると、梨沙や友理、
雅美、華子たちも来ていた。
「みんな心配して、
来てくれたみたいよ」
皆は、佐紀の周りに集まった。
「サキっ、大丈夫?」
皆、心配して、口々に声をかけた。
「みんな、ありがとう。
大丈夫だよ、私は」
佐紀は、皆に要らぬ心配をかけまいと、
明るい声で言った。
すると梨沙が、佐紀の肩をガシッと掴み、
佐紀と目を合わせた後、抱きついて来た。
「いいんだよ、サキ。
泣いていいんだよ。
無理すること、ないじゃん」
梨沙の言葉を聞いた途端、
佐紀の目から、涙が溢れて来た。
「リサぁ」
佐紀は、号泣した。
幼馴染である梨沙は、佐紀が無理をして、
悲しみを押し殺し、
気丈に振舞っていると、わかっていた。
梨沙は、佐紀の頭をポンポンとしながら、
「そうそう、全部吐き出したら、
いいんだよ。
溜め込んだら、
悲しさが大きくなるだけじゃん」
そんな二人を、皆は、周りで見守っていた

