仕方なく、ご飯を食べていると、
徐々に記憶が整理されて、甦って来た。
突然佐紀が、立ち上がり、
「祐太!」
と、大きな声で言った。
それから佐紀は、慌てて、
「伯母さん、私、家に帰って来る」
そう言って、ダイニングを出ようとした。
すると、伯母さんは、佐紀の手を取り、
「まあまあ、帰る時間は、まだあるわ。
ごはん、ちゃんと、食べなさい。
それと、何があったか、
キチンと、聞かせて」
そう言って、再び、佐紀を座らせた。
最初は、記憶も飛び飛びだったが、
話してるうちに、だんだんと、
気持ちも落ち着いて来た。
佐紀は、今日の、病院の電話までを、
伯母さんに話した。
「…そこから先は、覚えてないの」
「祐太君って、この前会った子?」
「うん」
「そうなの、
それはショックだったわね
いい子そうだったのに」
「伯母さん、私、家に帰って来る」
「そうね。
ちゃんとお別れ、してくるといいわ」
「お別れ?」
佐紀はまだ、半信半疑だった。
今、この場が、現実なのかも、
はっきりしなかった。
それは、祐太の死を信じたくない、
佐紀の心が、
そうさせていたのかもしれなかった。
「お葬式ってのはね、
残された人たちに、その事実を
受け入れさせるために行うものなの。
だから、キチンと
お別れしてきなさい」
「うん」

