「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


仕方なく、ご飯を食べていると、
徐々に記憶が整理されて、甦って来た。

突然佐紀が、立ち上がり、


  「祐太!」


と、大きな声で言った。

それから佐紀は、慌てて、


  「伯母さん、私、家に帰って来る」


そう言って、ダイニングを出ようとした。

すると、伯母さんは、佐紀の手を取り、


  「まあまあ、帰る時間は、まだあるわ。

   ごはん、ちゃんと、食べなさい。

   それと、何があったか、
   キチンと、聞かせて」


そう言って、再び、佐紀を座らせた。


最初は、記憶も飛び飛びだったが、
話してるうちに、だんだんと、
気持ちも落ち着いて来た。

佐紀は、今日の、病院の電話までを、
伯母さんに話した。


  「…そこから先は、覚えてないの」


  「祐太君って、この前会った子?」


  「うん」


  「そうなの、
   それはショックだったわね

   いい子そうだったのに」


  「伯母さん、私、家に帰って来る」


  「そうね。

   ちゃんとお別れ、してくるといいわ」


  「お別れ?」


佐紀はまだ、半信半疑だった。

今、この場が、現実なのかも、
はっきりしなかった。

それは、祐太の死を信じたくない、
佐紀の心が、
そうさせていたのかもしれなかった。


  「お葬式ってのはね、
   残された人たちに、その事実を
   受け入れさせるために行うものなの。

   だから、キチンと
   お別れしてきなさい」


  「うん」