「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


佐紀の記憶は、病院の電話の所で、
切れていた。

それからの記憶も、混沌としていて、
何か、大変な事が起こったとしか、
わからなかった。

佐紀は、ゆっくりと首を、横に振った。


  「まあ、いいわ。
   それは、後で聞くことにしましょ。

   さあ、ご飯、食べて。

   あの様子じゃ、朝から、
   何も食べてないんでしょ」


佐紀は、テーブルを見た。

夕食の用意がしてあった。

佐紀はもう、それが食べ物であると、
わかっていた。

しかし、食欲は、無かった。


  「今は、欲しくない」


佐紀が小さく言うと、伯母さんは、


  「ダメッ! 食べなさい。

   無理してでも、食べなさい」


と、強く言った。