食卓の椅子に座った佐紀の前には、
夕食が置かれていた。
しかし佐紀には、それが、食べるものだと、
認識出来ていなかった。
「さあ、食べなさい。
食べれば、少しは、
落ち着くでしょう」
しかし佐紀は、下を向いたまま。
「じゃあ、お茶でも、飲んで」
それでも佐紀は、反応しなかった。
そこで伯母さんは、強硬手段に出た。
お茶を、佐紀の口元に持って行き、
無理矢理飲ませた。
「ゲホッ、ゴホッ」
飲み所が悪かったのか、
佐紀は、むせ返った。
「ゴホッ、ゴホゴホッ、ゴホッ」
しかし、むせ返る事によって、
佐紀の潜在意識は、
生きている事を、思い出した。
佐紀の見ている風景に、
徐々に、色が戻って来る。
佐紀は、顔を上げた。
「サキちゃん、どうしたの?
何があったの?」

