「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


食卓の椅子に座った佐紀の前には、
夕食が置かれていた。

しかし佐紀には、それが、食べるものだと、
認識出来ていなかった。


  「さあ、食べなさい。

   食べれば、少しは、
   落ち着くでしょう」


しかし佐紀は、下を向いたまま。


  「じゃあ、お茶でも、飲んで」


それでも佐紀は、反応しなかった。

そこで伯母さんは、強硬手段に出た。

お茶を、佐紀の口元に持って行き、
無理矢理飲ませた。


  「ゲホッ、ゴホッ」


飲み所が悪かったのか、
佐紀は、むせ返った。


  「ゴホッ、ゴホゴホッ、ゴホッ」


しかし、むせ返る事によって、
佐紀の潜在意識は、
生きている事を、思い出した。

佐紀の見ている風景に、
徐々に、色が戻って来る。



佐紀は、顔を上げた。


  「サキちゃん、どうしたの?
   何があったの?」