「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


佐紀の意識に、ドアを叩く音が、入って来た


  「サキちゃん、いるんでしょ?
   晩御飯、出来てるわよ。

   早く、いらっしゃい」


もう、夜になっていた。

中から、返事はない。

怪訝に思い、伯母さんが、


  「サキちゃん、入るわよ」


そう言って、ドアを開けようとすると、
中から、うつむいた佐紀が、出てきた。

その後ろに見える部屋の中は、真っ暗だった


  「まあ、サキちゃん、
   電気も点けないで、
   どうしたの?」


しかし、それには答えず佐紀は、
幽霊のように、歩いて行った。

その、ただならぬ雰囲気に、伯母さんは、
佐紀の前に回り、肩を掴み、揺すった。


  「サキちゃん、サキちゃん、
   どうしたの?

   何があったの?」


顔を上げた佐紀の頬を、涙が流れた。

佐紀が、か細い声で、


  「どうしたんだろう、
   涙が止まらない」


伯母さんは、佐紀の肩を優しく抱いて、


  「とにかくダイニングへ行きましょう」


そう言って、佐紀を、
ダイニングへ連れて行った。