佐紀は、半信半疑だった。

そんな事、あるはずがないと思っていた。


佐紀は、祐太の携帯に、電話をかけた。

呼び出し音を数える、佐紀。


  “祐太、早く電話に出て。
   笑って、そんな事無いよって言って”


呼び出し音の数が増えるほどに、
不安が、大きくなって行く。

すると、呼び出し音が、止まった。


  「もしもし」


  “あ~、よかった”


  「もしもし、祐太?
   あのね……」


  「どちら様でしょうか」


佐紀は、今初めて、
この声が祐太でないと、わかった。


  「えっ、あっ、あの、
   祐太…、平岡君の友達ですけど、
   あなたは?」


  「私は、病院の者ですけど」


  「で、平岡君は? 祐太は?」