(5)お別れ
佐紀が、午前中、
一度下宿に帰って来て、
部活のため、学校へ行く支度をしていると、
携帯が鳴った。

電話は、梨沙からだった。


  “こんな時間に、珍しいな
   リサ、まだ学校じゃ………”


電話を取ると、
梨沙の、早口で大きな声が、頭に響いた。


  “うわっ、何、コレ”


佐紀は、びっくりして、携帯を耳から離した

携帯からは、梨沙の興奮した声が、
まだ、漏れ続けていた。

佐紀は、再び、携帯を耳に付けた。

梨沙の甲高い声は、まだ続いていた。


  「サキ! サキ! 聞いてるの?」


  「どうしたの。大っきな声で」


  「あっ、サキ、テレビ見た?」


  「いやっ、見てないけど」


  「テレビ、点けて! 点けて!
   たぶん、8チャンでいいと思う」


佐紀は、梨沙に言われて、
テレビを点けた。