表で、ナッキーを待っていると、
ナッキーと、その後ろから、
アイリが出て来た。

アイリは、ナッキーに、


  「今日は、ありがとう。

   また、いつでも呼んでね。

   サキ、お互い、
   頑張ろうね」


そう言って、帰って行った。

その後ろ姿をナッキーは、
ポカンとした顔で、見送っていた。


  「どうしたの?」


  「いや、アイリ、どうしたんだろう。

   今日なんか、嫌がってるの、
   拝み倒して、来てもらったんだよ。

   なのに“いつでも呼んでね”って、
   何が、あったんだろう」


  「きっと、ナッキー、
   気にいられたんだよ」


  「それより、アイリ、今、
   “サキ”って、言ったよね。

   うん、確かに言った。

   いつの間に、仲良くなったの?」


  「うん、ちょっとね。

   私も、気に入られたのかな」


  「よっしゃぁ~
   これで合コン、やり易くなったぞ。

   サキ、アンタとアイリ、
   セットだからね」


  「私は、もう、いいって」


  「そんな事、言わないっ。

   アイリがいると、
   男、集めやすいんだから。

   サキ、友達になったんでしょ」


  「いや、というほどのものでも……」


  「いいじゃん。

   お願い、ねっ、ねっ、ねっ」


佐紀は、それに対しては答えず、


  「さっ、帰ろぅ」


  「う、うん」


ナッキーは、不満そうな顔をしながらも、
帰る事にした。

二人は、帰りながら、


  「サキ、前の男子と、
   話、合ってたじゃん。

   どうなの?」


  「嫌だよ。あんな軽いの」


  「そうだね。私も、同感。

   ありゃ、お薦めじゃないよね」