しかし、ここで黙るナッキーではない。
目が、うっすらと好奇心を帯びて来て、
顔が次第に、期待の笑顔になって行った。
「ねっ、なんで?
なんで、フラれたの?」
「うん、フラれたというわけでも
ないんだけど」
「じゃあ、何なの?」
「祐太、バスケに専念したいって」
「そんなのなら、
別れる必要、ないじゃん。
それ絶対、女だよ」
「そうかなあ」
「そうだよ。女だよ、絶対。
そんな男なら、別れて正解じゃない」
それは、単なる推測であり、
全く根拠のない事ではあったが、
ナッキーは何とか
佐紀を慰めようとしていた。
但し、飽くなき好奇心と
闘いながらではあるが。
「いいじゃん、もう忘れなよ。
何なら新しい誰か、紹介しようか?」
「いやっ、大丈夫」
「忘れるには、新しい恋が一番だと
思うんだけどなあ」
佐紀も、ナッキーの気持ちがわかるから、
無下には断りづらかった。
しかし、新しい誰かと、
付き合う気持ちにもならなかった。
「私も、バスケに専念するよ」
「そっかぁ~
まっ、それも、いいかもね」

