「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


しかし、ここで黙るナッキーではない。

目が、うっすらと好奇心を帯びて来て、
顔が次第に、期待の笑顔になって行った。


  「ねっ、なんで?
   なんで、フラれたの?」


  「うん、フラれたというわけでも
   ないんだけど」


  「じゃあ、何なの?」


  「祐太、バスケに専念したいって」


  「そんなのなら、
   別れる必要、ないじゃん。

   それ絶対、女だよ」


  「そうかなあ」


  「そうだよ。女だよ、絶対。

   そんな男なら、別れて正解じゃない」


それは、単なる推測であり、
全く根拠のない事ではあったが、
ナッキーは何とか
佐紀を慰めようとしていた。

但し、飽くなき好奇心と
闘いながらではあるが。


  「いいじゃん、もう忘れなよ。

   何なら新しい誰か、紹介しようか?」


  「いやっ、大丈夫」


  「忘れるには、新しい恋が一番だと
   思うんだけどなあ」


佐紀も、ナッキーの気持ちがわかるから、
無下には断りづらかった。

しかし、新しい誰かと、
付き合う気持ちにもならなかった。


  「私も、バスケに専念するよ」


  「そっかぁ~

   まっ、それも、いいかもね」