「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


以前佐紀は、同じような理由で、
交際を中断した事があったので、
祐太に、強く言う事が出来なかった。

佐紀の場合は中断であって、
やめた訳ではないのだけれど、
それでも佐紀は、
負い目を感じていたのだった。


  「お前、インターハイへ行っただろっ。

   俺は、行けなかった。

   今、1部に上がれば、
   インカレに行けるチャンスが
   出来るんだ。

   バスケやってたら、
   一度は、晴れの舞台に
   立ってみたいじゃないか。

   来年が無理なら、再来年。

   とにかく、これに賭けたいんだ。

   だから、それ以外の事に、
   かまっている暇はないんだよ」


  「じやあ、それまで、待つよ」


  「そんなの、やめてくれよ。

   そんな事されたら、
   負担になるじゃないか。

   今は、バスケ以外の事は、
   削ぎ落としたいんだ」


  「でもぉ~………」


佐紀は今日、
“遅くなってもかまわない”と
覚悟を決めていた。

その覚悟が、祐太の言葉で打ち砕かれ、
空回りをしていた。

祐太の決意は、固かった。

佐紀は、納得できないまま、
受け入れざるを得なかった。



それからは、二人は肩を並べて、
黙ったまま歩いた。


駅で、別れ際に、


  「試合、頑張ってね」


  「ああ」


それが、最後の会話だった。