「部活~ウチらバスケ部~番外編」    佐紀、二十歳


佐紀は小さく、首を横に振った。

ナッキーの声が、1オクターブ上がった。


  「えっ、じゃあ、何してたの」


  「何って。いろいろ、話ししたり」


  「付き合ってるんだったら、
   腕くらい、組みなさいよ。

   こうやって…」


そう言うとナツキーは、佐紀の腕に、
スッと手を回した。


  「ねっ、簡単でしょ。

   これは、サキの方から行かなくちゃ」


  「だってぇ」


  「だって、だってって、
   お前は“だって教”の信者かっ。

   今は男がだらしないから、
   女の方から積極的に行くんだよっ」


  「じゃあナッキーは、
   手、つないだこと、あるの?」


  「あるよ」


  「じゃあ、キスは?」


  「あるよ」


ナッキーは、上から口調になり、
ちょっと胸を張って、答えた。


  「でねっ、ホントに付き合っていたら
   手は、こうやって組むんだよ」


そう言ってナッキーは、佐紀の手を取り、
5本の指を絡ませて、握った。


  「これが、“恋人つなぎ”ってヤツ」


ナッキーは、
明らかに上から目線になって、
佐紀に微笑みかけた。

そして、トドメの一言。


  「ホント、佐紀って奥手なんだから」


佐紀は、何も言い返すことが出来なかった