二人が、学食から出ようとすると、
入れ替わりに、一人の少女が入って来た。

その後ろから、
マイクを持ったキャスター風の女の人と、
カメラ、照明を持った人、数人が、
入って来た。

佐紀は振り返り、その一団を見て、


  「何? 何かの取材?」


  「そうだね」


ナッキーは、冷ややかに言った。


  「あのカワイイ子、誰?」


  「ドクモの、アイリ」


  「ドクモって、何?

   毒蜘蛛のなんか?」


  「サキ、ドクモ、知らないの?

   読者モデルだよ」


  「へぇ~、そうなんだ」


  「もぅ~、サキぃ。

   アンタ、本当に、バスケバカだね。

   そんなことしてたら、
   世間に、取り残されるよ」


  「彼女、何で、こんな処に?」


  「えっ、サキ、知らないの?

   あの子、ウチの学生だよ」


  「へぇ~、そうなんだ」


  「しかも、タメ」


  「へぇ~、そうなんだ」


  「へぇ、へぇ~って、
   アンタは“へぇへぇ教”の信者かっ

   サキ、ホント、
   なにも、知らないんだね」


  「ウン、でも、 
   ナッキーがいるから大丈夫。

   頼りにしてるよ」


そう言われて、ナッキーは、
悪い気持ちはしなかった。