廊下を歩いていると、前から、
答案用紙を片手に、教授然とした人が、
歩いて来た。
すれ違う時、後ろにピタッと張り付いている
男子学生がいた。
男子学生は、真っ青な顔をして、
後ろから、ついて行っていた。
それを見た佐紀は、
「何? あれ
悲壮な顔、してたよ」
と言うと、ナッキーは、訳知り顔で、
「ああ、あれは、カンニングだね」
「カンニング?」
「うん、カンニングが、
バレたんだろうね」
「また、バカなことを。
これで、あの教科、0点だね」
「違うよ」
「えっ」
「カンニングがバレたら、
全教科、0点だよ。
これで、あの子、留年確定ぃ~」
「へぇ~、そうなんだ。
厳しいっ」
「1教科くらい落としても、
どうって事無いのに、
軽い気持ちで、やったんだろうね。
後先考えないでやるから、
あんな目に合うんだよ」

