開始1分前のブザーが鳴った。
キャプテンが、声をかける。
「よし、行くよ。
イチ、ニッ、サン」
「ファイ」
スターティング・メンバーが、
コートに出て行く。
佐紀は、大きく、深呼吸をした。
それから、下を向き、胸に手を当て、
そして祈った。
“祐太、私、負けないよ。
祐太の夢は、叶えられないけど、
私が引き継いで、このチームを、
絶対、1部に上げてみせる。
見ててね、そして、応援してね”
顔を上げると、戦場であるコートが、
眩しく、輝いていた。
「よっし!」
佐紀は、小さくそう言うと、胸を張り、
コートに、一歩を踏み出した。

