*** ランニング *** タッタッタッタ………… 「はっ、はっ、…………はっ、はっ」 タッタッタッタ………… 「はっ、はっ、…………はっ、はっ」 ようやく坂道を、半分くらい上っても、 前を見ると、 まだ少ししか上っていないような、 錯覚にとらわれた。 「はっ、はっ、…………はっ、はっ」 去年の今頃も、 こうして走っていたはずだが “何回走っても、楽にならないなあ” そう思いながら佐紀は、再び、 1年生の頃を、思い出していた。