それからも佐紀は、
必死にバスケットに打ち込んだ。

しかし、以前のように、
無茶な事はしないようになっていた。


練習中、矢島キャプテンの、
容赦ない叱責が飛ぶ。


  「サキっ、そこ、切れて。

   サボってんじゃないよっ」


  「はいっ」


  「サキっ、セイフティ、遅いっ。

   ちゃんと、見てっ」


  「はいっ」


コート脇では、
矢島と同期の、萩原と岡井先輩が、
顔を見合わせていた。


  「ヤジ、何、切れてんの?」


  「あ~あ、あれじゃサキ、
   可哀そうだよ」


  「一生懸命やってると思うけどね」