数日後、まったく違う場所で、また殺人事件が起こった。

若い女の惨殺事件。

しかし、その事件はすぐに明るみには、ならなかった。


今回は人目に、付きにくい場所で起こったからだ。


僕は、その現場に急いだ。

携帯に、動画がリアルタイムで送られてきたからだ。

動画の電波を手繰り、僕は樹海の奥へとたどり着いた。


樹海にも、雨が降っていた。

「へぇ〜よくわかったね。ここが」

ナイフを握り締め、女の死体のそばに立つ男を、僕は凝視した。


眼鏡をかけ、優しそうな瞳を浮かべる殺人者に、僕は近づいた。


男は微笑み、

「ここは、携帯が通じないといわれているけど、違うよ。弱いが、電波は来ている。しかし、こちらからかけても、声は聞こえない。ただつながるだけ…だけどね」

青木ヶ原樹海。

マグマの上にできた森は、磁力が狂うといわれているが、そんなことはない。

ただ怖いのは……。

歩いていく僕の足元が、崩れた。

ここは、マグマが固まった所だから、無数の穴が開いている。

深さはそれぞれ違う。

暗い森の中で、穴にはまり、その中で餓死する者も多い。

僕は穴から、ジャンプすると、男のそばに降り立った。

「あなたは、何者だ?」

僕は、男を睨んだ。