精霊達がついてきたのは、偶然だった。

魔界の入口へ向かう僕の周りを、いつのまにか飛んでいた。

ロストアイランドに閉じ込められ、この世界では、ライの毒により…存在できないはずの精霊がいた。

(もしかしたら…どこかに隠れていたのか?それとも…最初から、存在していたのか?)

この世界の仕組みは、わからない。

ライが何をやったのかも…。

僕に導かれるように、精霊達はついてきたのだ。





魔界の入口に立った僕は、そこにいる魔物達に告げた。

どうしてかは、わからないけど……命じた。


心の中で驚きながらも、外にいる僕は、至って冷静だった。

僕の瞳に照らされたゴブリンや翼竜達は、戦いをやめ、

踵を返すと、魔界の奥へと戻っていった。


その様子を見送っていた僕も、ゆっくりと歩きだした。


「き、君は…」

そんな僕に、ダラスが声をかけてきたけど、

僕は、足を止めることなく、少し振り向いて、少し微笑んだ。


(時間がない……)

ついさっきまで、世界中で襲われていた人々を救ってきたが……カードシステムを失ったことで、大変なことになっているはずだ。

(早く…ライを倒さないと…)

僕は、空中に浮かび上がると、

一気に魔界に戻る魔物達を追い越し…ライの居城に向けて、飛び立った。