本堂から出た僕の目の前に、四人掛けのテーブルがあり、ステーキに味噌汁、ご飯が並んでいる。
「さあ、召し上がれ」
テーブルの横に立つ老婆が、僕を促した。
テーブルの上に並ぶのは、この世界に来てから見たことのない…僕がいた世界のものだ。
しかし、僕も馬鹿じゃない。
食べろと言われて、初めて会ったばかりの人間にすすめられた料理を、口にする訳がない。
テーブルの前で立ちすくむ僕に、老婆は肩をすくめ、
「あんたの頭の中から、再現したから、間違いと思うけどね」
そう言うと、老婆は僕と向かい合うように、椅子に座った。
「食べないなら、それでいいんじゃが…わしが、お前を呼んだのは、ききたいことがあるからじゃ」
「ききたいこと?」
僕は、老婆の方に体を向けた。
ティフィンが、僕の肩に止まった。そして、老婆を睨む。
老婆はティフィンを無視して、僕だけを見据えた。
「お前はなぜ、この世界に居座る?」
「そ、それは…」
「同じ世界の女を助ける為…だけと言いたいのかい?」
口を開こうとした僕を遮り、老婆は僕の瞳の中を、見つめる。
「それならば、なぜ今すぐ防衛軍の本部に行かない?お前だって、分かってるはずじゃ…。女は、防衛軍に捕われていると」
老婆の言葉に、僕は動けなくなった。
「女って、何よ!」
ティフィンが、僕の頬っぺたをつねった。
「い、痛い!」
「この大陸に張られている結界も…お前の力なら、突破できるはず」
「そ、それは…」
頬っぺたをつねられながら、僕は言葉に詰まった。
その答えは、自分でもわからなかった。
老婆は、そんな僕を見て、静かに席を立った。
僕に背を向けると、ゆっくりと歩きだした。
何もない…ただ材木を積み上げただけの壁に、手をそえると、窓ができ、そこから緑の世界が覗かれた。
「この大陸は、隔離されておる」
「さあ、召し上がれ」
テーブルの横に立つ老婆が、僕を促した。
テーブルの上に並ぶのは、この世界に来てから見たことのない…僕がいた世界のものだ。
しかし、僕も馬鹿じゃない。
食べろと言われて、初めて会ったばかりの人間にすすめられた料理を、口にする訳がない。
テーブルの前で立ちすくむ僕に、老婆は肩をすくめ、
「あんたの頭の中から、再現したから、間違いと思うけどね」
そう言うと、老婆は僕と向かい合うように、椅子に座った。
「食べないなら、それでいいんじゃが…わしが、お前を呼んだのは、ききたいことがあるからじゃ」
「ききたいこと?」
僕は、老婆の方に体を向けた。
ティフィンが、僕の肩に止まった。そして、老婆を睨む。
老婆はティフィンを無視して、僕だけを見据えた。
「お前はなぜ、この世界に居座る?」
「そ、それは…」
「同じ世界の女を助ける為…だけと言いたいのかい?」
口を開こうとした僕を遮り、老婆は僕の瞳の中を、見つめる。
「それならば、なぜ今すぐ防衛軍の本部に行かない?お前だって、分かってるはずじゃ…。女は、防衛軍に捕われていると」
老婆の言葉に、僕は動けなくなった。
「女って、何よ!」
ティフィンが、僕の頬っぺたをつねった。
「い、痛い!」
「この大陸に張られている結界も…お前の力なら、突破できるはず」
「そ、それは…」
頬っぺたをつねられながら、僕は言葉に詰まった。
その答えは、自分でもわからなかった。
老婆は、そんな僕を見て、静かに席を立った。
僕に背を向けると、ゆっくりと歩きだした。
何もない…ただ材木を積み上げただけの壁に、手をそえると、窓ができ、そこから緑の世界が覗かれた。
「この大陸は、隔離されておる」


