「ふざけるな!」

アルテミアは、絶叫した。

何が何なのかわからない。だけど、わかることはあった。

「今、やればいいんだろ」

ジャスティンにかけられた魔法が、発動する前に、塔を破壊すればいい。

目の前に倒れているジャスティンの右手が、アルテミアに向いていた。どうやら、最後の力を使ってアルテミアを、ここからテレポートさせたかったらしいが…その前に力尽きていた。

「くそ!」

アルテミアは、そんなジャスティンを蹴ろうとしたが、蹴れなかった。

「くそ、くそ、くそ、くそ、くそおおお!」

何度叫んでも、心は晴れない。アルテミアの瞳から、涙が流れた…。それが、悲しさからか…怒りなのか…もうアルテミアにもわからない。

アルテミアは、チェンジ・ザ・ハートを槍に変え、脇に挟んだ。

「Blow Of Goddess!」

槍の先を天に突き出すと、アルテミアはそのまま一回転させ、勢いよく、塔に向かって突き出した。

竜巻が起こり、雷鳴が轟いた。

塔よりも大きな衝撃波が、光の速さで、襲い掛かる。

しかし、アルテミアが技を放つ瞬間、足元がぐらついた。

「なっ…」

しかし、女神の一撃の軌道は外れることがなく、塔を直撃する………はずだった。

雷撃は、何者かに止められていた。

アルテミアは、確認しょうとしたが、できなかった。足元の地面は一気に盛り上がり、地割れが走り―――その隙間から、マグマが噴き出したからだ。

半径百メートル範囲から、マグマが火柱のように、数本立ち上った。

マグマは炎の竜になり、頭上から、アルテミアを襲う。 

「この技は、ネーナ!?」

竜は口を開け、炎でできた鋭い牙を覗かせた。