地面にめり込んだデティーテェから、戦闘服が消えた。

「そ、そんな…」

デティーテェは何とか腕に力を込めると、めり込んだ体を動かした。

這うように、アルテミアから離れていく。

「われを見捨てたのか…デスパラードよ」

デティーテェの姿は、人間体になっていた。

「もう一度…われに、力を…」

デティーテェは、虚空に手を伸ばした。


「フン!」

アルテミアは腕を組みながら、後ろからデティーテェに近づくと、背中を踏みつけた。

「見苦しいな。お前の負けだ。大人しく、滅しろ」

アルテミアは血だらけの拳で、手刀をつくると、背中に突き刺した。


「うぐう」

デティーテェの口から、鮮血が噴き出した。

アルテミアは、心臓を一突きすると、腕を背中から抜いた。

アルテミアの顔に、飛び散った鮮血がついた。

しかし、アルテミアは冷静だった。

バンパイアの本能を抑えている為、血がついたくらいでは動じない。


ゆっくりと、デティーテェから離れると、背を向けようとするアルテミアの耳に、笑い声が聞こえた。


「ハハハハハ!」

心臓を突かれたのに、デティーテェは首を回転させ、アルテミアを見上げた。

「われは、死なない!魂があるかぎりな」

心臓が止まっても、動く出したデティーテェの体が立ち上がった。

先程よりも、動きが速い。

「この肉体を棄て、新しい…」

にやりとアルテミアに笑いかけた瞬間、黄金に輝いたアルテミアの手刀が、一刀両断に頭の先から、股下までを切り裂いた。


「だったら…魂を切っておこう。まだ…その体にあるうちにな」

アルテミアは一瞥をくれると、デティーテェに再び背を向けた。

黄金に輝いていた体がもとに戻ると、アルテミアの傷付いた拳も治っていた。


「こ、これが…天空の女神…」

デティーテェの体が、左右に裂けていく。


「これが…」

別れた2つの体が、地面に落ちた。

「死か…」


アルテミアは、鼻で笑った。

「知るかよ」