校門が見えた。

トップスピードのまま、走り抜ける。

右に曲がると、第一校舎と、体育館をつなぐ廊下がある。

それを突っ切って、さらに右に曲がると、

第2校舎。

そこが、香里奈たち、高二の教室がある。

三階の二年二組。

教室のドアを開けると、香里奈はため息をついた。

「一番乗り…」

朝の当番は、辛く、虚しい。

黒板をふき、花瓶の水をやりかえていると、

ドアが開いた。

「おはよう…早いわね」

少し茶色ぽい栗色の髪が、サラサラと流れるように綺麗な女の子…。

よくハーフと間違えられる、目鼻立ちがはっきりとした美人…

里緒菜が、教室に入ってきた。

香里奈は、里緒菜を軽く睨む。

「おはよー。仕方ないでしょ!当番なんだからー」

里緒菜は、クスッと笑う。

「そうよね…。いつも遅刻寸前に、飛び込んでくるもの」

「朝の1分1秒が、どれだけ大切か」

香里奈は、当番の仕事を適当にすますと、自分の席に着いた。

そして、思い切り椅子にもたれながら、里緒菜の方を向いた。

「あんたこそ、早いじゃない」

里緒菜は、1限目の用意をしていた。

「あたしは、演劇部の朝練」