あれから何日が経っただろう。





転校生とも、真央ともクラスは違うので会う事は無かった。






結局、藍原さんが真央をあたしから寝取ったって噂が直ぐに広まった。







一時は今思えば引くほどに、王子王子ともてはやされていた真央も、今では風当たりが悪いらしい。







藍原さんは同じクラスの子の話によると学校は休み続けているって。






そしてあたしは周りからは色々声を掛けられ、終いには告白されることが多くなった。







でも今は恋愛なんてする気はなくて却下。








「奈々美ー。モテモテですなぁ」






同じクラスの早崎は、あたしの靴箱に入っていたラブレターを見ながらニタニタ笑っている。








「ちょっと!声大きい!」









キッと早崎を睨みつけて、ラブレターを開けてみた。






爽やかな水色の封筒に、ちょっと色の濃い青色の便箋。






………その便箋に、赤い字で文字が書かれていた。








「…………あ、赤色…」







青色と赤色はちょっとミスマッチだな、なんて思う。








そして読み進めると……特に何の変哲もない文章だった。






しかし文章の最後にも、便箋の裏にも、差出人の名前が何も書かれていなかった。






もしよかったら付き合ってください、と書いてあったのに差出人が書かれてないって変なの。






なんて少し笑ってしまった。








「おー?良いこと書かれてたのー?」







するとすかさずニタニタ顔を隠さず、早崎が声をかけてきた。