ジャスミン

『着いたよ。』

颯太郎の声に我に返るとシートベルトを外し、車から降りる。

目的の場所はクリスマスツリーが煌めき、一面キラキラとイルミネーションが施された幸太郎の店だった。


『いらっしゃいませ。』

颯太郎が店の扉を開け、茉莉に中に入るよう促す。茉莉はイルミネーションに目移りしながら店内に入ると、京子さんがギャルソンの制服を完璧に着こなし綺麗な笑みを浮かべながら出迎えてくれた。

『こんばんは。…よろしくお願いします。』

茉莉は少し緊張気味に挨拶すると、京子はニッコリと微笑んで席へと案内する。
京子が引いてくれた椅子にゆっくりと座るとキャンドルの炎の向こうに颯太郎がこちらを見つめていた。

『ふふ…何だか緊張しちゃうね。』

茉莉は照れ隠しのように口を開き颯太郎は微笑んで応えると手際よく飲みもののオーダをする。その一連の仕草を見惚れるように見ていた。


『乾杯。』
グラスを軽く合わせると口に付けたシャンパンは驚く程口当たりの良いものだった。颯太郎は運転するからとミネラルウォーターをグラスに注いでいた。申し訳ない気持ちになりながらも、茉莉はその味を堪能する。