ガラガラ
『お、お邪魔しま…す。』

恐る恐る入ってくる茉莉の姿に思わず吹き出してしまう。

『ぷっ、何だよ…残念だな。』

バスタオルをこれでもかってくらい厳重に巻いて更に自分の腕でガードしている茉莉の必死さに笑ってしまう。

『もう、何回もそれ以上のところまで見てるんだぞ?』

『だって!って何言ってるの⁉︎あぁ、もう最悪…。』

顔を真っ赤にしてアタフタする茉莉が湯船に浸かる前にすでに逆上せそうにすら見える。

『はいはい、すいません。俺はこっち向いてるから早く洗っちゃえよ?』

言葉だけの謝罪をすると、茉莉とは正反対に扉側の方に身体を向けた。

『…う、分かったよ。』

渋々といった感じで茉莉も動き出したのかタオルの外す音やシャワーの音が敏感に聴覚を刺激する。


キュッ
シャワーの音が止むと人の動く気配を感じる。

『そのまま後ろ向いててね?』

チャポン
どうやら茉莉はこのまま互いに背中合わせで入ろうとしているようだ。

(それじゃ意味ないよな?)

自分自身に問いかけると、颯太郎は後ろを振り返りまさに湯船に座ろうとする茉莉の身体を後ろから抱え込んだ。