シャワーを一気に出すとまだ暖まっていない水を頭からかぶる。そうでもしないと、自分の理性を保てないと思ったのだ。

多少無理強いしてまでも茉莉と一緒に入ろうとしたのは、いっ時も離れたくないという自分の願いからで先ほどのやり取りは強ち嘘ではない。

浴室の外で慌てふためいているであろう茉莉を呼ぶ為に湯船にお湯を張りながら自らも身体を洗う。

一通り終わると、まだ溜まりきれていない湯船に早々に浸かるのは茉莉の気が変わってしまうのを防ぐため。

『茉莉、おいで。』

『…は、はいっ!』

薄っすらと透ける扉の向こうには覚悟を決めたのか、服を脱ぎ始める姿が見える。

(…これは、意外と俺の方がやばいんじゃないか?)

思いのほか心拍数が上がって緊張感が押し寄せてくる。よくよく考えると異性とお風呂に一緒に入るなんて経験はしたことがないのだ。

未体験の世界に自分自身が暴走してしまわないか一抹の不安を抱えながら、茉莉が入ってくるのを待つ颯太郎。まさか彼の心中がこんな感じになっていることなど、茉莉は想像もしていないだろう。