ジャスミン

『あーぁ、これはもうお開きにした方が良さそうだな。』

『そうですね…ったく！』

二人は、半ば呆れ気味に皆に帰り支度をさせる。皆も流されるように店を出る。

『じゃあ、週末ゆっくり休んで来週からまたよろしく。』

颯太郎の言葉でそれぞれが帰宅や二次会の話を始める。

『課長や佐伯さんはどうされますか？』

部下の一人に尋ねられると、佐伯は断わりを入れ去って行った。

颯太郎も同じ様に帰ろうとする。

『汐里も課長と一緒に帰りますね！皆さんまた来週〜！』

当たり前のように汐里は颯太郎に着いてくる。部下たちも『ヒュー！』など一昔前の送り方をするのは酔っているからという事にしておこう…。


颯太郎は汐里を待つことなく、早歩きでどんどん歩いていき、角を曲がったところで立ち止まる。

『おまえ、本当に何がしたいの？』

追いついてきた汐里に対して冷ややかな視線を送る。

『…私課長のこと好きなんです。今夜は一緒にいて。』

涙目で頬を紅く染めながら汐里は颯太郎を見つめる。