ジャスミン

『…。』

何も言えなかった。
図星をさされたのか?俺は前に進めていないのだろうか。

ただ、今言えることは、大樹の普段見せない表情が、大樹の言葉一つひとつが俺の内にスッと入り込んでくる感覚に戸惑いと何とも言えない気持ちになっているということだ。

大樹は颯太郎の気持ちを見透かしているかのようにフッと笑みを浮かべビールを飲み干した。


しばらくたつと二人が戻って来たのだろう、大樹は何事もなかったかのように「あー!二人とも遅いよ~!」なんて騒いでいる。

その様子をちらっと見ると、何だか茉莉も美香も先ほどとは違い、スッキリしたような表情を浮かべているように感じた。

「次は何飲もうかな~?」なんて盛り上がる二人を横目に俺もいつもより、多めのアルコールを体内に入れた。