ジャスミン

『…しかし、茉莉の相手が彼だったとはなぁ。』

いきなりの話題に思わずキョトン顔になってしまう。


『えっ？彼のこと知ってるんですか？』

茉莉の言葉に部長は驚いたように目を見開いた。

『は？おまえ何言って…。』

そこまで言うとその後は口を閉ざし何か考え込んでいるようだった。


(え？どういうことなの！？部長は颯太郎のこと知ってるってことだよね…？)

茉莉はジッと部長を見つめ、次に出てくる言葉を待つ。


『そうか…。まぁ、自分の目で確かめた方がいいのかもな。』

部長は独り言のように呟くと勝手に自己完結してしまった。


『どういうことですか？』

たまらず尋ねると部長は思いのほか真剣な表情で逆に茉莉に尋ねた。

『本気なんだよな？』

その様子に茉莉も誤魔化すことはできないと感じ、本心を伝える。

『はい。』

『そうか。なら、これから先何があったとしても彼を信じてやるんだな。』

部長は何を知っているのだろう？

まるでこれからのことを暗示するかのような言葉に茉莉は言いようもない不安を感じた。