ジャスミン

時計を見上げるとお昼は当の昔に過ぎていて、自分が空腹であることにも気づく。

(しまったなぁ…。今更、食べに出るのも面倒だし、どうしようかな？)


『はいっ！どうぞ。』

茉莉の目の前に袋に入ったサンドイッチとコーヒーが置かれる。

(これは、駅前の行列ができるお店のじゃない！)

神様のように崇めると、そこには西川くんが誇らしげに立っていた。

『これ、私に？』

『茉莉さん頑張ってたんで、お昼食べ損ねるなと思って買ってきちゃいました！』

女の子が聞いたら誰もが、キュンキュンしてしまいそうなその笑顔と台詞に茉莉も満面の笑顔で返す。

『ありがとうっ！お腹空いてたんだよねぇ。いくらだった？』

お財布を開きながら西川くんの方に振り返ると何故か彼は顔を真っ赤にしている。

『えっと…いくらだったかな？』

『お金は大丈夫です！』

彼の挙動に首を傾げながらもそんな訳にもいかないと、口を開く。

『え？でもー「じ、じゃあ、今度呑みに連れてってください！相談もあるので。」』