「雪華っ!」

勢いよく病室のドアを開ける。
そこには愛しい彼女がいた。

「…ら、ぃぁ…?」

「雪華っ!雪華!」

俺は雪華を強く、強く抱きしめた。
その体は以前より細くなり
これ以上強く抱きしめたら
骨が折れてしまいそうだった。

「ホントに…?ホントに雷秋…なの?」

「あぁ、俺だ。雷秋だ。」

その瞬間、雪華は子供のように
泣きじゃくった。
これまでにどれだけ我慢しただろうか。
1人で怖い思いをして、
苦しんで、苦しんで。
きっと、怖かったんだ。

雪華は強いんじゃない。
周りがそうさせてしまったんだ。
俺もその1人だったかもしれない。
雪華を動けなくしたのは
俺たち偽善者だ。
いま、雪華はやっとその苦しみが
解放されたんだ。