おいおい、いきなり現れて何言ってんだ。



光が事情を説明してるけど、まったく耳に入ってない様子で篠原はまりやを睨んでいる。



誤解するのは勝手だけど、面倒事に巻き込むのだけは勘弁してくれよ。



光と篠原の間に挟まれたまりやは、オロオロしながら困り果てていた。



グイッとまりやの腕を後ろに引いて、傾いた体を俺が抱き留める。



「言い合いしてるとこ悪いけど、こいつ俺の彼女だから。


変な誤解すんのやめてくれない?」



まりやも光も俺の行動に驚いて俺を見上げた。



「あんた、光とヨリ戻したいとか言ってるらしいけど、最初から脈ないのわかってて、なんでそんな必死になってんの?」



篠原に俺が放った言葉は図星を突いていたのか、さっき一瞬だけ見せた悔しそうな顔をまたのぞかせた。



「光君、今日は帰るけど……私、あきらめないから! 絶対に!」



踵を返すと、駅がある方向へと篠原は去って行った。



「はー……。マジで最悪。

大翔、ごめんな。ちゃんとケリつけようと思っても上手くいかない。

まりやちゃんにまで迷惑かけて」



自分のことでみんなに迷惑かけているのがわかってるだけに、光は力なく笑っていた。