受け取らないと店員が困ってしまうから、受け取るしかなかった。店員は頭を下げて、店内に戻って行く。


「ねえ、それって例のストラップよね?袋の中に名刺とか入ってないの?」


「うん。ない」


「じゃあ、さっきの店員さんに聞いたら分かるんじゃないの?聞いてみようよ」


「里沙、待って。いいの。縁がなかったんだよ」


追いかけて行こうとする里沙を止めて、私はストラップを袋の中に戻す。


「でも、聞いたらいいのに」


「いいの。もし、東京の人だったら、偶然どこかで会えるかもしれないし」


「そんな偶然、簡単にあるわけないよ。東京に住んでいる人の数は半端じゃないんだよ」


そんなのは私だって分かってる。会える確率はゼロに近い。


「何ヶ月か経って、会えなかったら、縁がなかったんだって、諦めるよ。でも、会えたら、絶対に運命だと思わない?会えないかなー」


私はロマンチックに有り得ない偶然というか、運命を願った。もし、会えたらこのクローバーの奇跡になるはず。