風は自由だ。

ビックリするぐらい身軽で、どこにだって行ける。



わたしは、いつもいつも、そんな風に憧れる。

風みたいに、なりたかった。




だから、引き留められないなって、思う。






「花、どうしたの」


ふわり。

動けないわたしを微かに揺らす風。


心配そうな顔に、笑う。




「どうもしないよ。ねえ風、次はどこに行くの」

「ならいいけど・・・。
次は海に行くよ」

「うみ?」

「川の行きつくところ。
大きな大きなしょっぱい湖」

「ごめんね風。
わたし、よくわかんないや」

「前行ったって、話さなかったっけ?」

「川は水がいっぱい流れているところで、湖は水がいっぱい溜まったところ」

「わかってんじゃん」

「うん。でも、それだと海と湖の違いがわかんないの。海は、しょっぱい湖?」

「あー・・・そっかそっか。
んとな、湖があの細い木だとすると、海はあの大きな木がいくつもあるこの森みたいなもん」

「・・・・・・うん。ちょっと、わかったかも」