「君たち、この家に用なのかい?」
おばさんはしかめっ面な表情を浮かべた。
…何、この人。
「今、ここの奥さんはいないよ」
「えっ、いないんですか!?」
「仕事でほとんどいないからねぇ。金稼ぎの為に子供を置き去りにしてはやばい所へ出稼ぎに行っているらしいさ」
子供を…置き去りに?
あの優しそうなお母さんが?
すると、聖は走り出して
勝手に入り口のドアを開けて
中へ入っていった。
「聖っ!?」
「あんたたち、この家とはあまり関わらない方がいいよ。印象良くないからね」
そう言って、おばさんは
何事も無かったかのように立ち去った。
…だったら、
おばさんの方がよっぽど印象悪いよ。

