「美嘉はね、聖の優しさに惹かれたの。それに比べて、あなたは平気で子供や年配の人を傷つけていた。そんなあなたに美嘉は怯えていたのよ」 「……」 「…もう、憎むのはやめて。美嘉が死んだのは誰のせいでもない。事故だったの」 「…俺は、美嘉に見捨てられていたんだな」 気の抜けた笑いを浮かべた達哉は、 ポケットからもうひとつの小型ナイフを 取り出して自分の首に向けた。 「達哉っ!?」 「もう…終わったんだ。何もかも」 ダメだ、簡単に死んだらいけない。