「役員じゃない壱縷に頼むなんて悪いよ」
「…別に。頼まれたからじゃない。俺が希美の役に立ちたいだけ。だから、」
邪魔、しないでくれる?
と冷ややかな声で言い、静かに睨む壱縷。
その凄みにビックリして肩を揺らす日野さんと、なぜ敵意を見せられているのか分からず、驚く榛名君。
「壱縷」と声を掛けるとその鋭い目を柔和させて私の肩を押した。
「…行こ」
すたすた歩いていく壱縷を目で追いつつチラッと二人を見れば、当然ポカンとしている。
「気にしないで。壱縷はああいう奴だから」
苦笑いでそうフォローして、小走りで背中を追った。

