「…俺は卑怯だ。
希美の弱味につけ込もうとしてる」
「…っ」
「…それでも希美が俺を選んでくれるなら構わない」
「…もう、いい」
「…俺は、希美が好きだ」
「…っもういいってば…!」
「…こんなときに卑怯だと思うけど、」
「…や、めてよ…」
離れようとしても腕を力強く掴まれて逃げられなかった。
その愛しいと言わんばかりの瞳から。
欲に塗れた狼のようにギラつく瞳から。
逃がさないと私を捕らえて離さない瞳から。
「…俺を、選んで」
逃げられなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…